書道がなんなのかよくわかりません。 漢字の書き順もおおよそ正しくないと思います。 自分で丁寧に書いた字でも
見返してみると小学生が描いたような幼稚な字。 という訳で字の上手い人は、それだけでその人を見上げてしまうのです。
関西のお笑いの方で原田伸郎さんという方の筆字もいい。正式な書道の先生ではないでしょう。 でもその字に人柄が
出ていて和みます。 金澤翔子さんの筆も心が伝わってくるようでいい。だからたまに眺めては、その人の素直な心を感じたり
しています。それほどこの人の字が好きです。 「お母様が好きだからお母様のところに生まれてきたの」という翔子さんは
ダウン症。言葉が少ない翔子さんの言葉には嘘はないようです。 ダウン症の告知を受けて涙にくれて、オロオロと
悲嘆に暮れて、彷徨い生きたお母様が、この子を授かって幸せだと思うまでに二十余年かかったようです。
私はこの金澤翔子さんが書いた宮沢賢治さんの「雨にも負けず」が殊の外好きです。 小さく書かれた一文字一文字に
心が籠っているようで、その素直な字体が気に入ってます。 生きて行く上で苦労もあったでしょう。 こんなはずでは
なかったと思う事も何度もあったことでしょう。 期待なんてしない方がましだと思うことも一度や二度ではなかった
かもしれません。 何度そんなことを思いながら活きてきたことでしょう。
しかし、どんなことがあっても、いつも前を向いて活きて来たから、その文字に心が反応するのかもしれません。
その字を観て、その方の言葉を通して感じるものがあります。 期待通りに物事が進まなくて却って、その方が
結果的に良かったということが人生にはつきものです。神様なんて信じるものかと思いながらも決して道を外さない、
そして心を投げない生き方があるように思えてなりません。
新たに迎えたこの年、どんなことが起るのだろう。そしてどんな出会いが待ってるのだろう。
いずれにしても、どんなに落ち込むことがあっても、いずれ春は来るのだと思って前を向いて行こうと思います。
「雨にも負けず」の翔子さんの文字を観ていると、人生満更でもないと、いつも思うのです。