世の中には理解できないことが多い。 東大医学部の募集人員は97名。
偏差値は断トツで最高の74を維持している。 日本で最も難しい学部だ。
出身校を見ると灘20名、筑駒15名、開成7名、桜蔭6名、東海4名、渋教幕張、聖光、栄光が各3名
となっている。 天才だけが集う場所であって、秀才は東大理Ⅲに合格できるものではない。
ところが、医師国家試験合格率を見ると他の大学が95%、98%を維持しているのに東大医学部は
新卒、既卒を含めその合格率は毎年90%を下回っている。今年も111人が受験し106人が合格。
5人が不合格となった。過去を見てみると、この東大医学部では大学を卒業後の国試浪人が5人から10人
毎年出ている。せっかく東大医学部に入っても医者になれない人が少なくないのだ。そもそも国試
浪人組の合格率はほぼ50%に激減する。精神的ダメージを負ってまた1年間禁欲生活に浸る訳だから
鬱に陥る人もいる。 同期が臨床現場で働くことを耳にすれば疎外感も募るばかり。
浪人を重ね、受験する度に下がっていく合格率に直面することになりそれも鬱に拍車をかける。
今年は自分にも春がくるものと確信し、研修医として勤務する病院近くに引っ越しをしている最中に
国試速報を見ることになる。しかしいくら探せどない。 自分の番号がない事を知るのは容易い。
しかし浪人2年目を受け入れるには心の整理が必要だ。親兄弟、親戚の期待を裏切った事への
罪悪感に苦しみながら再び鬱状態に舞い戻る。今年の東大国試浪人組は15人が受験し6人が合格し
9人が不合格。わずか40%の合格率だった。この9人は昔、天才も今はただの人となってしまった。
そんな精神的限界と戦い国試浪人を経験した27歳のアイドルが医師国家試験に合格した。
九大医学部卒の秋山ありすにもやっと1年遅れの桜が咲いた。 半端ない出来事だと私には思えてならない。