京都の御所の裏にある大学を卒業して、もう37年に。
仕事はセラミックの会社で京都とは縁が切れず蒸し暑い山科の夏と
雪のお寺の美しさに触れながら時を過ごしていました。
狭い京都。暇を見つけてほとんどのお寺さんを見て回りました。
中でもダントツで怖かったのは曼殊院。
掛け軸のそばには「撮影厳禁」「撮影されますと差し障りあることが
おこることがあります。」と注意書きがあって、その掛け軸の独特の
雰囲気で鳥肌が立ったのを覚えています。
そして、癒されるのは北嵯峨のひっそりとたたずむ直指庵。
これが京都だと私は思っています。
静寂に包まれ時が止まったような本堂。机にはごく普通のA4ノートが
置かれているだけ。「想い出草ノート」と名づけられた白いページに
「そっとその意地を私に捨ててください。苦しむあなたを見ているのが
つらいのです」 誰の言葉か、心に沁みました。
京都にはこんな隠れた癒しがいくつもあります。京都は私が空手と出会った街。
剛柔流空手と極真空手を学んだ街。仕事をしながら空手を続けてきた街。
私の心のふるさと。またいつか行ってみたくなる街。意地を捨てなさいと
言ってくれる街。さて、肩の力を少し抜いて生きてみようか。