毎年2月、3月は各大学の医学部1次、2次、繰上合否結果が発表され、3月には大学別医師国家試験結果が発表
される。 最終的に医者を目指して15-20年間、勉強してきた秀才たちの中で今年、医師国家試験に合格したのは
合計7,696名。 そのうち新卒=7,205名(93.1%)、 既卒=491名(59.4%)
出来る事なら6年間の学費が350万円程度の国公立大学医学部を希望しますが、それは容易い門ではありません。
私立の平均は6年間で約3000万円。 地方では家が一軒建ちます。 それを子供に託す訳ですから私立の医学部
に入った場合は勉強に専念してもらいたいというのが親心。 私もそうでした。 国公立医学部受験用に駿台予備校
の国公立医学部コースに長男を入れ挑んでもらいましたが、センター試験で90%を取れず志望校には縁がなかった
のです。 私学も滑り止めとして受けてもらいましたが、本音は授業料を考えるとやめて欲しいというところでした。
ただ、国公立が落ちてしまうと医学部ならどこでもいいから受かって欲しいという気持ちに変わってくるのが2月、3月。
それまでにセンター試験で早稲田、昭和大学の歯学部は受かっていても、頭は医学部から離れない訳ですから初志
貫徹を願うのみ。 そこで受かったところが3校。 合否はすべてインターネット上で分かるので、会議中であろうが、
外出先であろうが、パソコン画面にくぎ付けでした。 受験番号を見つけたときの嬉しさは今でも忘れられません。
それが入試です。 歓喜と感動です。 これまでの10年の勉強の成果ですから、子供以上にガッツポーズをして
いたかもしれません。 今、4年生になり親の気持ちとしては、あと3年頑張って欲しいという気持ちと、もう留年は
止めて欲しい。そして何より「国試浪人はやめて欲しい」のです。 医学部卒業後に国家試験で落第した場合の
翌年の合格率(既卒者合格率)は60%です。 贔屓目に見ても、二人に一人は落ちると考えるべきです。6年間の
授業料を払って医学部も卒業したのに医者にはなれないのです。 また問題が大きいのは、卒業寸前の6年生で
留年決定する場合です。 各大学共に今や国家試験合格率が偏差値に与える影響があるとみているために、
国家試験には受からないレベルの学生を卒業させないのです。 私立でこれが甚だしいのは帝京、川崎、埼玉、
北里、金沢医、福岡、岩手、昭和、愛知医、東京医、東海。 ここの学生の親は金銭的に大変だと思いますし
御子息は精神的負担が大きくのしかかり、留年が続けば社会から取り残されるという思いに駆られてしまうでしょう。
医学部受験生は、実はそういうリスクが付きまとっていることを知っておかねばなりません。 国家試験まで行き着いて
合格すれば天国。しかしそこまで行き着かない秀才の数は意外に多いのです。 ちなみに今年の国家試験出願者数に
対し不合格者は1,102名もいます。 毎年1,000名が落ちて再受験に挑むのは900名程度。 約100名はゴール
寸前で夢を諦めています。 悲惨です。 もう27歳~30歳でしょう。 その後の仕事は何をするというのでしょうか?
理系の大学を4年で卒業し、一般企業に勤めていれば5年~8年生。 そろそろ現場のリーダーともなろうとする年齢。
医学部受験にはこういうリスクが付きまとっています。 長男は昨日の4月1日から授業が始まる為に朝6時半に大学
に向かいました。 いつの間にか頭は私よりはるかに良くなってますが社会経験がありません。 そしてその応用・生き方
もこれからです。 私自身、あと3年 親として、その実感をこれからも書いて参ります。 空手とは無関係ではありません。
空手クラブに来られているご家族で医学部に関心のある方はいるはず。 どのように医学部に行かせたのかに興味のある
方もいるはず。 私はそういう御子息と直接接して、その道へのアドバイスをして行こうと予てから考えてます。
土曜のみすずが丘の稽古の後は、今度小4になる男の子との自主トレと自主勉強(本読み)を欠かさず続けています。
但し、この生徒を医者にする為に勉強をしているのではありません。 今の学力を伸ばすために一緒に本を読むのです。
私は空手だけを教えているのではありません。子供達に生き方を直接教えています。それはこれからも変わりません。