生れたあとに得た技能は、後天的な影響が大きく作用していると言われている。
つまりその人の育った家庭環境が大きく作用していると言われているのです。
たとえば犯罪者。 もしその人が優しい両親、和やかな家庭環境に育てっていれば
きっと凶悪な犯罪者にはならず、正義感の強い立派な警察官になっていたかもしれない。
つまり、育ちや環境がその人の人格形成に大きく作用するということなのだろう。
そしてそれは幼少期ほどその影響は大きいらしい。
たとえば、優しさ、寛容、社交性、誠実さ、忍耐力、薄情、意固地、閉鎖性、無責任、逆上性、粗暴性。
人の人格を作り上げる小さな芽は、すでに幼少期から造られている。
身長、容貌、体形、内臓の強さや機能などの身体の特徴は親から受け継いものだからどうしようもない。
けれども、人格、しつけ、知識、技術などは早ければ早いほど養うのには適している。
そういう思いから、この空手クラブでは、しつけ、後始末、挨拶、そして耐えること、心の強さを養うこと
に重点を置いて指導をしている。
大山総裁がご存命の頃と今とでは、かなり世の中も変わった。
そして世の中が求めてるものも変わってきた。
そんな時代の流れの中で「何が人間として大事なのか」を見つめながら子供たちの顔を看ている。
今日、次男の引っ越しを手伝った。
四年間、陸上部の寮住まい。そして最後の日、寮の後輩たちが見送ってくれていた。
大学の体育会の練習は厳しかったろう。
そう言えば、1年生の頃には何度も弱音を聞いた。
もう辞めたい、という言葉を何度も耳にした。
帰りの車の中、感慨深げな次男に一言だけ言った。
「よく頑張ったな」 これが精一杯だった。
他に思い当たる言葉がなかった。
ハーフが1時間5分。 これがベストだった。
箱根出場メンバーの中では決して早くはない。
しかし、この四年間の陸上部の寮生活は人格形成の環境としては決して悪いものではなかったのだろう。
後天的なものを養う環境は 本人が辞めたいというくらいがちょうどいいのかもしれない。
助手席で眠っている次男の顔を看ていてそう思った。