「僕は子供時代、痩せて居て、虫のような顔をしていました。」
「非常に小さく身体も弱かった。学校では馬鹿にされて、いわゆる
いじめられっ子でした。その思いが根強く残っています。」
「家へ帰ると母が待っていて、お帰りという代わりに『今日は何回
泣かされたの? 』と聞く。僕は指を折って一回、二回と数えて
今日は八回だあと、ベソをかいて答える。それが日常だったのです。」
「そんな時、母親が過保護だったら、僕も甘えてしまって負け犬のまま
終わってしまったでしょう。」
これはある有名な方の幼少の頃の記憶です。
その方のお母様が、その人を創ったのかもしれません。
お母様の口癖は「我慢しなさい。」でした。 我慢して我慢していじめに
耐えているうちに、中学生になり高校を卒業する頃には趣味の漫画のかたわら
医学の道を歩み出そうとしていました。
「東京に行って漫画を書きたい。でも宝塚に残って医者にもなりたい」と悩んで
いた時に、お母様は 「本当に好きなのはどっち」と聞きます。
「本当は漫画が好き」と答えると、「あなたがそんなに好きなら東京に行って漫画家
になりなさい」 と迷う息子の背中を押してくれました。
手塚治虫という漫画家はこうして生まれました。
多くのいじめられっ子が、いつかは羽化して、手塚治虫に成れますように。
明日は今年最後の空手の稽古。
ただただ、そんな事を願うばかりです。