縄文時代後期、今から2900年も前のこと。 日本の人口は8万人に減っていました。遡って4300年前の縄文時代中期
には日本の人口は26万もいたのに、その後の栄養不足や疫病蔓延などのために人口は減ってしまったのです。
その後弥生時代に入った1800年前には稲作も普及し国家が形成されて人口も59万人に増加しています。
そしてそんな日本がまだ縄文時代後期の、今から2500年前に小アジアのフリジア島の貧しい羊飼いの黒人の家に
生まれたのがイソップ。 顔はひどく醜く、そのうえどもりで、人とまともに向かい合って話をすることもできなかった人。
まるでコンプレックスのかたまりのような男が、そののちエーゲ海の東の端にあるサモス島に渡り奴隷として働いて
いました。 しかし、さまざまな苦難に耐え、ひたむきに努力をした結果、2番目に雇ってくれたご主人がイソップの天賦
の才を見込んで奴隷の身から解放して自由人にしてくれました。自由の身になったイソップは、アテネ、コリントなど
ギリシア各地を寓話を語りながら渡り歩きます。
イソップは語り屋として次第に認められ人気を博していきますが、時の権力や体制に反するような人間であると
言いがかりをつけられ、紀元前550年頃、デルフィであらぬ罪を着せられたまま処刑されてしまいました。
まだ当時のギリシャですら言論の自由も生きる自由もなかったころの話です。
旅人の服を脱がそうとする北風と太陽の話や、カメとうさぎのかけっこの話、アリとキリギリスなど今でも通じる話ばかりを
2500年も前に生きたイソップは考え、それを語り広めて行ったものだと感嘆しきり。 そしてその後、現在に至る2500年
の間、よくもそれに関わり合った人達は、その話を語り継いで来られたものだとつくづく思います。
今日、そんなイソップの話をみすずが丘の稽古のあとの個人レッスンでしていたのです。 個人レッスンと言っても集中
することの習慣づけ。そして一緒に本を読むというもの。 本は百瀬昭次さんの「君たちは偉大だ」。 これを6冊、木曜日に
購入し、1冊は今日、個人レッスンの子供に渡しました。 これから一緒に最後まで読んで行こうと思います。
30分の個人レッスンの20分は空手の基本稽古、10分は、この本の朗読にあてることにしています。
今回6冊も買ったのは、他の子供たちとのことも考えてのこと。 いずれ朗読に興味がある子がいれば一緒に参加できれば
いいと考えているからです。 朗読は脳を活性化させ、豊かな想像力を導きだしてくれるものです。 声を出して読むことは
他人にも自分にも聞かせる事になる為に黙読よりも記憶に残りやすいのです。 今日は二人で代わる代わる声を出して
読み、時間になったところに今日の日付と名前を節目のように書きました。 この作業は春が終って、蚊に悩まされる夏に
なれば終っているだろうと思います。 何でこんなに時間をかけるかというと、文章の段落ごとに何を言いたいのかを
考えてみる時間を取ったり、今日のイソップの話などで脇道に反れたりする「大事な寄り道」をするからです。
実はこういう寄り道が子供たちに取ってかけがえのないものになると思っているので欠かすことは出来ません。
そして、この個人レッスンはもちろん無償。 自分の心が動いて始めた活動なのですから。