もうだいぶ前からある脚本家のドラマを好んで観るようになっている。 最近ではBSでも再放送があるので
楽しみにしています。 「泣いてたまるか」、「二人の世界」、「ふぞろいの林檎たち」、「男たちの旅路」、
「岸辺のアルバム」。 この他にも見たいものが山のようにあります。 どれも、その方独特の色があって
面白いのです。 もう80歳のこの方は脚本家でもあり小説家でもある。 実はその小説も映像が頭に浮かぶ
ような構成でグイグイ引き込まれてしまう。 最初に手にしたのが「異人たちとの夏」。
その後、「遠くの声を探して」。 何だかこの二つの作品、変わった感覚になりました。
安部公房さんの本を読んだ時以来の感覚です。 「壁」のような「砂の女」のような「棒」、「R62号の発明」のような。
ところで、この安部公房さん、24歳で東大医学部を卒業して27歳で芥川賞を受賞された方。
東大医学部では、優秀とは言い難く「医師国家試験を受けない」という条件で卒業を認められたようです。
人間の妊娠月を2年と卒業前の口頭試験で言ってしまった時点で、医学の道から文学にと踏ん切りもついた
のでしょう。 こんな面白い経歴と斬新な小説が好きでたまらない。
夏が来た。 読書の夏が。 本に親しみ、本に戯れる。 歴史小説も、純文学も面白い。
夏になると畳の部屋でごろんとしながら本を読んでいる時間が嬉しい。 蝉の声は読書によく似合う。
川辺の日蔭で読むのもいい。 そんな時間が待っている。 さあ、この夏、どんな本に出遭えるだろうか。