去年の3月14日に同じようなブログを書いていた。 「医学部 その15」
悩みもなく、睡眠不足もなく、苦労もない。 そんな人生などあるのだろうか?
汗まみれで、精一杯で、眠りに落ちたと思ったら朝を迎える。 それが人生だと思って生きて来た。
際限もなく続く暗闇のただ一点の仄かな明かりを頼りに生きる。 それが人生だと思って生きて来た。
だから、豊かで、楽しく、安心して、長生きができる人生が羨ましい。 それが正直な気持ちだ。
でも、実際に、そんな時を過ごすようになると、きっと、その怠惰な時を持て余してしまうだろう。
苦労があって、ハラハラドキドキがあるから、人生なのだ。 それが私の魂の喜びだ。
一昨日、長男からメールが来た。 「進級出来たよ」
簡単な、素っ気ないメールだった。
でも、そのメールで私は暫しの安堵を得ることが出来た。
この4月から医学部6年生になる。 あと1年か。 ふとそう思った。
もう、このハラハラドキドキもあと1年で終わってしまう。
何だか、微妙な気持ちが湧いてきた。
子供が独り立ちする時は、もう遠くはないのだ。
子供が自分を超えて行ってくれる嬉しさと、そして僅かな、もの寂しさが入り混じる。
思えば、今日のうちに、あれもやって、これもやらねば、、、という日々を過ごして来た。
しかし、考えてみると世の中には、「ねばならないもの」など、そうあるものじゃない。
なのに、私は、駆られる日々を過ごして来た。
何で、それほど気忙しく生きてきたのだろう。
子供の受験には、それほど入れ込んでいた。
あの塾に行かねば、 その中高一貫校に入らねば、 あの医学部に入らねば、、、
そんな視野の狭い人生の結果、今がある。 ならば、それも悪くはなかったのか。
初めて長男の医学部合格発表をインターネットで検索した時、これほど感動したことはなかった。
失敗や感動、感激の積み重ねが人生に彩を与えてくれた。
それが生き生きとした毎日と、活き活きとした心をもたらしてくれた。
この桜の季節と素直な門出の季節に、心から感謝する。
ワクワクドキドキの時に感謝する。
あと、もう1年。
来年、医師国家試験は第110回を迎える。