6年生 四人と約束した。
「3ヶ月後に開脚して胸が床に着くようにする。」
そんな単なる約束だった。
もう一つ、「出来なかった場合は空手を辞める。」そんな代償も付け加えた。
これはどれほどの効力があったかは分からない。
世間では約束を破ってもいいものだと勘違いをしている人がいる。
ちっぽけな約束だし。
取るに足らない約束だから。
そんな軽い気持ちで約束を反故にする人が少なくはない。
先日、プロ野球を観戦した。
2ヶ月前にチケットを抑えていた。
楽しみで待ち遠しかった。
その日を心待ちにしていた。
そして、その日は約束通りにやってきた。
しかし、その事は当たり前ではない。
雨が降って観戦できないかもしれないし、他の事情で観に行けなかったかもしれない。
でも、2ヶ月前に思っていたことが実現した。
先の約束には実は何の保証もないのだ。
だから自分で決めた事で出来る事なら、それをすべてやり続ける。
そういうことなら出来る。
その事を気付かせたい。
過去の自分が心に決めたその日までやり続けること。
それも出来そうだ。
それも伝えたい。
結局、それが約束というものではないだろうか。
そんなまどろっこしいことを6年生 四人に伝えたくて約束をした。
この四人に共通することは
2年程の稽古を積んでいた事。
しかし、四人とも身体が硬いという事。
そして、身体が硬くてもスパーリングは意外と強いという事。
ただ、自分の未来に約束するという大事な事はまだ知らない。
一生懸命やればきっと出来ることも知らなかったかもしれない。
毎日、毎日頑張った自分を導いてくれたのは、他でもない自分自身なのだ。
自分の未来は自分で決めるしかない。
それを伝えたくて約束をした。
来年、この四人は中学生になる。
この先、彼らがどんな人生を歩むかは分からない。
未来の自分を大事にしたいのなら、今の自分に嘘をついてはならない。
「きっと、ここに来るからな」と過去の自分が未来の自分に言い聞かせる。
そんな図太い人生であって欲しい。