高学年の子にいきなり聞かれた。「先生、極楽ってあるの?」
空手の先生に何を聞いて来るか、と思いながらその子の顔を見た。いたって真面目な顔で聞いて来てるから邪気には出来ないかと思いながら、こんな話を思いついた。
「あのね、地獄の底を突き破ったところに極楽はあるらしいよ。面倒な事、イヤな事から逃げ回っていては、いくら経っても極楽には行けやしないんだ」
でたらめではないにしても、その場で心に浮かんだ事を繋げてみた。
「いい運に恵まれて、小さな事にとらわれないで、辛抱強くやっていたらなんとかなるの」
ここまで来ると自分で喋っていてなんだか自分に言い聞かせてるようになっていた。
「いい運ってどこに行けばもらえるんですか?」
「あのね、もう空手の時間だから、またね。」
はしょるにもコツがいる。もしそんな事知ってたら、先生が先にもらいに行ってるわ。と思いながらも、今度、その話の次を準備しとく事にしました。