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何も味がないということを味として。 小さいものを大きいものとして扱い、少ないものを多いものとして扱う。


難しい事は、それが易しいうちに手がける。 大きいことは、それが小さいうちに処理をする。


世の中の難しい物事は、必ず易しいことから起こり、世の中の大きな物事は、必ず些細な事から起こる。


安請け合いをすれば、きっと信用を無くす。 易しいと見くびることが多ければ、きっと難しいことが多くなる。


一抱えほどもある大木も毛先ほどの芽から成長する。 千里もの道のりも一歩歩く事から始まる。


ざっと、世の中の事はこういう流れの中にあるように思える。


名誉と身体と、どちらが身近なものであろうか?


身体と財産と、どちらが大切なものであろうか?


何かを得ることと失う事と、どちらが苦しいであろうか?


物を惜しんで生きると、いずれ散財する羽目になる。 多くを蓄えれば、必ずひどく失う羽目になる。


だから満足することを知っていれば免れることも多いだろう。 ただ「足るを知る」と言葉で分かっていても、


それを出来るかと問われると全く程遠い。失敗をしない為だと分かって居てもそれが抑えられないのが人間だ。


でもちょっと難しい。 頭で考えるのはもうよそう。 難しい言葉じゃなくても分かるものがある。 


1885年に書かれた児童文学「イワンの馬鹿」を読むとわかる気がする。こんな人生を歩めたらとつくづく思う。 

イワンの馬鹿  

そんな真理を単純明快に、わかりやすく描かれた児童文学に心が洗われる。 夏は読書に限る。 


ちょっと暑い中で単行本とにらめっこ。 スマホやバーチャルなゲームよりもこの農家の三男坊の話しは面白い。 


ちゃんと働いて手にタコが出来ている者だけに食べる権利があると結んでいたその本の結末は、当時高校生で


あった私の心の奥に普遍的なものの意味を伝えてくれた。


読み終えたあと大の字になりながら余韻に浸っていた。そんな夏休みは、あっという間に過ぎて行った。


夏は、やはり読書に限る。 そして昼寝もいい。 そんな気楽な夏休みが大好きだ。

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