夢を見た。 大学に行ってるけれども、授業に一度も出ずに期末を迎えようとしているらしい。
流石に焦った。 というか焦るのが遅すぎる。 何でゼミで馴染みの人に試験の予測くらい聞いて
おかなかったんだろう? そういえばここ数カ月朝から授業に出た覚えもない。 さあ、どうしよう。
どうして、こうなったんだろう。 何でバイトにばかり気が向いて勉強のことはほったらかしにして
しまったんだろう。 すべては後の祭りだ。 流石に困った。 打つ手なし。
ハッとして目が覚めた。
そこにはベッドに寝てる中年のオヤジがいるだけだった。
あ~良かった大学生じゃなかったんだ。
胸をなでおろしているオヤジがいた。 テレビが点けっぱなしだった。
寝る前に長男の進級のことが気になっていたんだった。
そういえば医師国家試験の結果と6年生への進級の結果がそろそろ出るころなのだ。
例年3月17日前後にそれは分かる。 医師国家試験は来年の110回が本番だ。
それを今から気にしている親がいる。 長男には決して聞かないし顔にも出したくはない。
でも本音は医学部受験を意識し出して、かれこれ16年の総決算なのだ。
親も陰ながら応援もし、意識もしている。
でも今日はあれやこれやと考えながらテレビを点けたままうたた寝をしてしまった。
そういやあ、自分は大学生とは名ばかりでろくに授業にでなかった。
それが長男には、必ず授業に出ないとダメだという。 親は勝手なものだ。
そうだ、あまり長男には言うまい。 授業のことも聞くまい。 5年生にもなれば、もう大人だ。
本人が言って来るまで、そっとしておこう。 そう思って、どれほどの日が経つことだろう。
それ以来、長男のことは家内に聞くようにしている。
「最近、何か連絡来たかい?」
「今度、いつ帰ってくるのかなあ?」
あまり何度も聞くものだから 終いには 「あなた自分でメールでも電話でもしたらどうなの?」
と呆れられる。 でも「それが出来るくらいなら、聞きゃあしないさ。」
と心で訴えながら黙ってしまう自分がいる。
子供は成長するものだ。 子供子供と思ってるのは親の方だけで、子供は成長し一人の男に
なっている。 だから干渉して欲しくはない。 そうに決まってる。 自分がそうだったから。
そろそろ桜のシーズンを迎える。 果たして満開を愛でられることやら皆目分からない。
人は桜のつかの間の花の盛りを楽しむとともに、その散りゆく様を観て、様々に思いを巡らす
のだろう。 この世は、常に移ろい、人も物のすべて昔のままでいることはない。
儚いからこそ今の、この時を、この瞬間を一所懸命に生きようとするのだろう。
それが大切なのだ。
三寒四温の後に訪れる春爛漫。 満開の桜、 そして散りゆく桜に我が身を、そしてわが心を
添わせて、清く、明るく、明日を見詰めようと思う。
そうだ、この三寒四温で体調を壊ししばらく振りで風邪を引いてしまったから、こんな昔の思い出に
絡めて、焦っている自分を思い出したのかもしれない。
そういえば昔は勉強しようと炬燵に入ったまま朝まで寝てしまって焦ったっけ。
ちょっとだけ寝てから夜中に勉強しようと心に決めて寝てしまって朝を迎えたことも度々だ。
今となっては懐かしい思い出だ。
思い起こせば恥ずかしい思い出ばかりだ。
幼いころの思い出も蘇って来る。 母親買い物に付いてまわる無口な悪ガキが居た。
忘れがたい思い出もいくつもある。
そんな思い出があればあるほど人生が豊かになるような気がする。
生きるための温かい励ましでもあり、生きる力にもなる。
そんな懐かしい思い出を大事にしつつ、今年もまた周囲のかけがえのない人達と新たな思い出を一つ
でも多く創って行こうと思う。
観るもの聴くもの新鮮に驚きで受け止め今日が初日という気持ちを保ちたい。
不確定な未来に軸足を置くのではなく、今という一瞬に軸足を置いて、今日という日を大切に
生きてみようと思う。 そして目の前にある小さな命の一つ一つに心を寄せて生きて行こうと思う。