西田師範主宰の清武会第115回春季トーナメントに33人が出場させて頂いた。
結果としては入賞者は6名。(優勝1名、準優勝2名、4位3名)
その他の方々も惜しい試合が多かったと思います。
空手は日常の稽古が大事。しかし非日常的な緊張感を経験することも大事。
そこに試合に出る価値がある。
スパーリングと試合は別物。鉛のように重く感じる手足と120%燃焼される心臓と肺。
相手の容赦ない蹴りとパンチ。この時ほど時計の針を意識することはない。
たった2分の必死の攻防がスローモーションのように感じられる。
「延長などしたくはない。」 でも判定で引き分け。 「あと2分もやるのか?」
2分という時間がこれほど長いと感じることはない。
「もういい、終わりたい。勝っても負けてもいい。」
そんな時に聞きなれた声が背中を押してくれる。先輩、後輩が応援してくれている。
「下がるな」、「前蹴り 入るよ」
「分かってるよ、でも足が上がらないんだ」
「頑張れ、残り30秒だ」
「まだ、30秒もあるの、無理だ。」
「ここからラッシュだ〜」
「相手の息づかいが聞こえる。相手は弱そうだったのに押してくる、あ〜無理だ」
お母さんの声、友達の必死の声援。
この人達の声で無理だと思っていたあと一歩を超える事ができる。
「相手が下がったぞ、効いてるのか?」
「行けるかも、でも死にそうだ、息が続きそうもない」
判定での勝ち負けは時の運。そして 紙一重の差しかない。
でも、これを味わう価値はある。自分との戦いは、この2分に凝縮されている。
もうダメだと思っている時の声援であと一本が出る。頑張れの声が背中を押してくれる。
そんな時に人の潜在能力が開花する。私は一人一人にこの潜在能力に触れてもらいたい。
道場のスパーリングとの違いはここにある。
何度も言うようにこの道場では試合が全てとは位置付けていない。
しかし、試合でしか得られないものがある。
試合が終わり緊張感から解放されたあとにそれが実感出来る。
試合にエントリーした人達全ての勇気を讃えたい。
負けて流した涙は輝いていたよと伝えたい。
応援に来て頂いた人達と選手の一人一人の涙と笑顔は私の宝だ。