便利な世の中になった。と思う人は多いかも知れない。
30年前の1985年、私は同じ事を感じていた。
当時1ドル=240円だったと記憶している。
だから1ドル=100円や77円の時代が来るとは夢にも思わなかった。
音楽はカセットで聴いていた。それがCDになりMD,DVD,メモリーになった。
今、掃除は丸いルンバがしてくれる。 洗濯機も静かになった。
この便利さに慣れてしまうと手間をかけることが煩わしく
手間がかかるものは面倒なことのように思えてきてしまう。
今年2015年。何か局面が変わろうとしている。
30年後はいったいどんな時代になっているのだろう?
今の幼稚園児が働き手となり、今の小学生が親の年齢になっている頃だ。
そんな2045年は、もうそこにある。
もっと便利な世の中が、そこにある。
しかし、どんなに便利な世の中になろうとも子育てだけは、はしょってはならない。
食事を作り、抱っこしてあやし、汚れ物を洗濯する。
怪我をすれば夜中でも病院に駆け込み、病気になれば夜通し看病をする。
寝不足の毎日に追われ、夫婦のいざこざは増すばかり。
それでも子供を一人前に育てねばならない。
そんな毎日を決してはしょってはいけない。
親は子供を育てていくうちに親になるのだから。
母性とはそんな中で養われてくるのだろう。
働く事、子育てをする事で人は人になる。
ある方のお母さんの言葉が心に残っている。
その言葉が30年経っても活きている世の中であって欲しいと思う。
「母さんは小さい頃から働くことばっかりで全然勉強も出来んだったし
昔はおなごは、勉強せんでよかと言われよったけんね。ばってん、母さんは
世の中のことはいろいろ実地で勉強してきたけん。人の表も裏も分かっとる
つもりたい。世の中にはよか人もおるし、悪か人もおる。情のある人もいれば
なか人もおる。母さんは幸せだったばい。苦労もしたばってん、よか人たちも出会えて」
お天道様は30年前も、30年後も変わらず世の隅々まで観ているだろう。
子供達がやがて親となり、長い旅立ちの日を迎える時に
「自分は苦労もしたばってん幸せだったばい」と思える人生にしてあげたい。
世の中がどんどん変わろうとも変わらない生き方がある。
子供達にそんな、たわいもない事を伝える為に私は生きている。
叱られて涙ぐむあの顔も、この顔も「よか大人」になり「よか人たち」に出会って欲しい。
そう思いながらいつも子らの頭を撫でている。