あなたみたいに付き合いづらい人はいないと面と向かって言われた。
学校の給食も一人ぼっちだった。
もちろん登下校もぼっち続き。
その人の話はまだ続いた。
世間のクリスマスの盛り上がりには背を向けたくなった。
やがてスマホから眺める世間が純粋な世間だと思うようになって
人と話す事が苦手で一人でいる事が当たり前の人生を歩むようになって行った。
そんな人生を何年も過ごしたという。
自分の心に閉じ篭って生きることはどれほど辛かろう。
平然として聞き流したように振舞っていても、実はぬかるみの世界に落ち込んで
抜け出せなかったらしい。
積り積もったあきらめの山は手の施しようもないほどだった。
広い世の中には、さまよえる心の持ち主は少なくない。
仕事を追われ自暴自棄な人。
回復の見込みのない難病を宣告された人。
身を粉にして貯めたお金を騙し取られた人。
人混みの中にたった一人生きる人。
そんな人に私が出来ることは、先のちびった鉛筆で心のスイッチを押してあげること。
生きてる限り、言葉を紡ぎだすことは誰にだって出来る。
一枚の紙と、ちびった鉛筆とさえあればいい。
あとは心を込めてこの手を広げて君の胸のスイッチを押してあげるだけだ。
絶望に細る心を前に、この世に生まれ落ちた訳など説いて聞かせてなるものか。
「水の流れに逆らって泳いでご覧。」
「それが活きるという事なんだ。」
「水の流れに身を任せて生きるのは死んだ魚のようなもの。」
「大地と海の川に力いっぱい生きてみないか」
「それでも君は活きた魚かい?」
風に乗って届けよ、響けよこの声が君の心を熱くするまで。
あきらめないで。
だからいつまでも響けよ。
そして君の心に暖かい血潮が蘇れ。
凍える海の粉雪が舞う真冬の夜でも
いつだって、この想いを届けてあげよう。
出遭うべき人と出遭うべき場所に君が辿り着くまで。