休日は ゆっくり新聞に目を通す時間があります。 「一点突破の足場を作る」とは 新聞の記事。海堂尊さんの言葉です。
千葉大医学部を出て、医学博士兼作家で有名な方です。中でも「チームバチスタの栄光」などはドラマにもなった有名作です。
海堂さんは自分を評して、外科医を断念し、病理学でも死亡時画像診断分野以外では全く業績を残せなかった落ちこぼれ
と言うのです。千葉大医学部を出た医者が、「落ちこぼれだった」と言われると 落ちこぼれも悪くないような気になるから
不思議です。また海堂さんは、拠り所となる仕事があれば、落ち込むことがあっても、その自分の陣地に戻って気持ちを
立て直せると言うのです。医者になってしまうと、あとは天国のように地上の民は思うのですが、医者には医者なりの悩みが
あるようで医学界は、今だに多くの財前五朗がおられるのだなとその道の険しさをあらためて感じさせられたのでした。
しかし、その事よりも更に興味引いたのは、当時、医学とは無縁であった作家の山崎豊子さんが何で「白い巨塔」のような
医学会の内幕を赤裸々に描けたのかと言うことです。新聞社に入るだけの能力があったから? 作家として、観察者としての
素晴らしい能力の賜物? う~ん、何で書けるのかな? そんな専門的なことを。 そう考えていると、ふと、当時の
毎日新聞社の配属先の上司が、井上靖さんであったことを思い出したのです。そうだった。それならさもありなん。その時に
思い浮かんだことは、明日は檜になろうともがくあすなろでも得意分野の樹下にピケを張ってさえいれば、いずれ檜に成れる
のかもしれないという微かな確信みたいなものでした。