自転車の遅乗りほど難しいものはない。
早くこがないと倒れてしまうのに、それを遅く乗る。
相当の技術と力が必要だろうと察しがつく。
坂道に差し掛かったら、尚の事、技量が必要だ。
自転車でなくとも山道で調子に乗って駆け降りてしまうと、止まることは殊更難しい。
終いには膝が悲鳴をあげて、杖がないと歩けなくなってしまう。
だからスピードを上げる力よりも、ブレーキを掛ける力を備えたい。
何事も上級者と初心者の間には「急」と「緩」の差がある。
方や、何事もせわしなく、あわただしく、騒々しい。
体勢は不安定な中にあって心が定まっていない。
もう一方はゆったりとした姿勢から次の一手、二手が素早い。
素早く動く、そして急に止まる。
それが難しい。
緩急の「急」は身に付きやすく、「緩」は得がたい。
せわしない人は、ある意味、ある部分で才能があるのかもしれない。
行動的で、頭の回転も速い方なのだろう。
それゆえ、えてして頭角を現すのも早かろう。
しかし、こういう人は何かの拍子に大きくつまづきやすくモロイ。
何でもかんでも人と争って、いつも先頭に立とうとする人に長丁場人生はきつい。
ヨーイ・ドンで飛び出る駄馬は、いずれ息切れを起こして先手失速となる。
人生のマラソンはまだ続く。
先手失速でもチャンスはある。
駄馬だと言われても、あきらめるにはまだ早い。
浅い川はせわしなく流れ、 深い河はゆったりと流れる。
ならば、あえてゆったりと自然に身を任せてみるがいい。
北の国に行けばオーロラは8月から見える。
そこに言葉は必要ない。
シャッターチャンスはすでに創られている。
あくせくは似合わない。
そこにすべてがあって、あなたはそこに生きてる。